プロテオグリカンの種類

 動物細胞が産生するプロテオグリカンは、芯となる1本のペプチド鎖(コアタンパク質)にグリコサミノグリカンとよばれる糖鎖が1本以上共有結合した複合糖質の総称です。図に例示するように多種多様な分子があります。これらが豊富に分布する組織、組織での存在様式や機能も異なります。

 プロテオグリカンといえば、多数のコンドロイチン硫酸鎖をもつ、試験管ブラシのような形の分子を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、それは軟骨に多く分布するプロテオグリカン、すなわち、アグリカンです。2010年以降、アグリカンを含むサケ軟骨抽出物が配合された食品や化粧料が製品化されています。ヒト尿由来のウリナスタチンは、抗炎症の注射剤として応用されています。プロテオグリカンといっても様々な種類があるのです。

図 種々のプロテオグリカン
 コアタンパク質をオレンジ色の線で示し、おおよその分子量をオレンジ色で記した。グリコサミノグリカン糖鎖を水色の線で示した。コンドロイチン硫酸(CS)/デルマタン硫酸(DS)、ヘパラン硫酸(HS)は色分けしておらず、その種類と本数の目安を水色で記した。パールカンのコアタンパク質は長いので省略線を付した。ケラタン硫酸(KS)やN-グリコシド型糖鎖、O-グリコシド型糖鎖をもつものもあるが、描いていない。豊富に分布する組織等の例を括弧内に記した。プロテオグリカン全体のおおよその分子量を緑色の目盛り上に示した。N、Cはそれぞれ、N末端側、C末端側を示す。

参考文献
 Kjellén, L. and Lindahl, U.: Proteoglycans: structures and interactions, Annu. Rev. Biochem. 60, 443-475, (1991).
 Iozzo, R. V. and Schaefer, L.: Proteoglycan form and function: A comprehensive nomenclature of proteoglycans, Matrix Biol., 42, 11-55, (2015).
 Merry, L. R. C., Lindahl, U., Couchman, J., and Esko, J. : Chapter 17 Proteoglycans and sulfated glycosaminoglycans, in Essential of Glycobiology [Internet]. 4th edition., Varki, A., Cummings, R. D., Esko, J.D., et al., editors, Cold Spring Harbor (NY): Cold Spring Harbor Laboratory Press, (2022).

弘前大学大学院医学研究科 附属高度先進医学研究センター
柿崎 育子

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