澱粉は植物種によって固有の特性を有しており、サツマイモ澱粉はバレイショ澱粉やキャッサバ澱粉などの他の植物澱粉と比べて、澱粉糊液の粘度や透明性及び付着性が中間的な性質を示します。サツマイモ澱粉を食品に利用すると、わらびもちなどのゲル性食品ではもっちり食感を、えびせんなどの膨化食品ではさくさく食感を付与することができます。
一方、サツマイモの品種により澱粉特性には多様性があり、サツマイモ品種「こなみずき」の澱粉は従来の澱粉よりも20℃程度低い温度で糊化する低温糊化性を有します。「こなみすき」澱粉は、澱粉粒の中心部に亀裂のある形態で、そのアミロペクチンの分子構造に由来して、ゲルの耐老化性(保水性)や成型性及び弾力感といった特性を兼ね備えており、優れた機能性を有するユニークな天然澱粉として注目されています。
図 サツマイモ澱粉の顕微鏡写真(400倍)
(左:従来サツマイモ澱粉,右:「こなみずき」澱粉)
参考文献
農研機構 九州沖縄農業研究センター 研究成果情報(2009)
http://www.naro.affrc.go.jp/project/results/laboratory/karc/2009/konarc09-08.html
片山ら,応用糖質科学, 2018, 8, pp56-62
鹿児島県大隅加工技術研究センター
時村 金愛