海藻は光合成色素により緑藻類、紅藻類、褐藻類に大別され、生育する場所も異なれば海藻に含まれる多糖も異なります。青ノリや海ブドウなどの緑藻類の主要多糖は「ラムナン硫酸」や「β-1,3-キシラン」であり、海苔や天草などの紅藻類には「カラギーナン」や「寒天」が、またコンブ、ワカメ、オキナワモズクなどの褐藻類には「アルギン酸」や「フコイダン」が含まれます。これらの多糖は藻類ごとに種特異的であり、例えばフコイダンはコンブに含まれますが、青ノリには含まれません。
これらの多糖は、海藻の“ぬめぬめ成分”ともいわれるように粘性が高く、ゲル化する特徴があり、古くから増粘剤やゲル化剤として食品分野で利用されています。また一方で、免疫賦活活性など多くの生理活性が見出されたフコイダンのように、健康補助食品として利用されている多糖もあります。この生理活性は硫酸基に寄るもので、海藻の多糖にしばしば見られるもう一つの特徴といえます。ちなみに、フコイダンはオキナワモズクに豊富に含まれ、その量はコンブやワカメの10倍です。なぜ、オキナワモズクがフコイダンを大量に含むのか、それは謎です!
参考文献
Nagaoka M, et al. Glycocon. J.,1999, 16, pp19-26
Ale, MT and Meyer AS, RSC Adv., 3, 2013, pp8131-8141
辻ら, 応用糖質科学, 2013, 3, pp248-252
琉球大学 農学部
小西 照子