学会長あいさつ
澱粉を始めとする各種糖質科学及び関連する酵素科学の進歩を図り、科学、技術並びに関連産業のさらなる発展を目指して
会長 井ノ内 直良
福山大学 生命工学部 教授
会長(2019年9月~2021年9月)を仰せつかっております井ノ内でございます。
日本応用糖質科学会は、澱粉を始めとする各種糖質科学及び関連する酵素科学の進歩を図り、科学、技術並びに関連産業の発展に寄与することを目的とした学会であり、1952年に澱粉工業学会として設立されました。その後、1972年に日本澱粉学会、1993年には日本応用糖質科学会と改称し、2015年7月には一般社団法人日本応用糖質科学会として新たにスタートし現在に至っており、今年で67周年を迎えました。発足当時から、企業、大学、公的研究機関等の幅広い研究者、技術者との密接な協力のもとに、基礎だけでなく実用面から学術的な研究活動を続けています。本会の設立当初から今日に至るまで学会の発展のために献身的に学会活動を支えて下さいました歴代会長や役員そして会員の皆様に改めて感謝申し上げます。
ここ数年心配されておりますのは、本学会会員数が減少傾向にあることです。この傾向を何とか食い止め、かつ会員増に繋げるためにも、これまで以上に魅力ある学会、活気ある学会作りが必要との認識の下に、役員一同諸事業に取組んで参りました。その取組みの一つが、学会ホームページのリニューアルです。総務委員会の皆様のご尽力により、本学会の取組み内容や数々の関連する情報をできるだけ早く、より見やすく、より分かりやすく提供できるホームページが完成致しました。今後もさらなる充実を目指して参りますので、ご意見・ご要望をお寄せ下さいますようお願い申し上げます。
また、学会としての事業の中核をなす年次大会ですが、毎年、100題を越える研究発表があり、活発な質疑応答がなされております。また、学会の活性化と人材育成、さらには研究の進展を促す目的の若手研究者によるポスター発表は、その約半数にあたります。今年は中部支部担当で岐阜大学の矢部富雄先生を実行委員長として9月11日~13日の3日間、JR岐阜駅に隣接した岐阜市文化産業交流センター(じゅうろくプラザ)で、成功裏に開催されました。実行委員会の皆様のご尽力に深く感謝の意を表します。次回は東日本支部の担当で、2020年9月に信州大学工学部(長野市)で開催予定です。本学会会員、関連学会の会員、学部学生・大学院生をはじめ多くの皆様の積極的なご参加をお待ちしています。
年次大会以外にも学会活動として欠かせないものとして支部活動があります。北海道支部、東北支部、東日本支部、中部支部、近畿支部、中国・四国支部、九州支部の全国7支部で、支部シンポジウムの開催など、活発な活動が展開されています。また、企画委員会の皆様のご尽力により、若手研究者による最新情報の提供と若手研究者の交流の場としての「応用糖質フレッシュシンポジウム」が年次大会前日に開催され、年々参加者が増加する傾向にあります。さらに2017年12月に「澱粉構造・機能研究部会」(藤田直子部会長)が設立されました。本研究部会では、澱粉構造と機能との関係を解明し、その知見を食品素材開発や食品加工流通技術開発等に繋げるために必要な活動を行うこととしており、今後の活動が大いに期待されるところです。
さらに、学会誌は糖質科学分野の発展、社会への貢献のために重要な役割を担っておりますが、2011年から和文誌「応用糖質科学」と欧文誌「Journal of Applied Glycoscience」に分冊化され、歴代の編集委員長・副委員長をはじめ編集委員の方々のご尽力で、両誌ともに非常に充実した内容になりました。和文誌では、報文に加えて特集の総説の内容が大変充実しております。また、英文誌についてはPubMed収載を目指せる状況にあり、皆様が認める国際誌の仲間入りをするのも間近であると思われます。会員の皆様の今後益々の積極的な論文投稿をよろしくお願い致します。
役員一同、会員の皆様と共に、学会発展のために諸活動を進めて参ります。ご支援ご協力をよろしくお願い申し上げます。