学会長あいさつ

澱粉を始めとする各種糖質科学および関連する酵素科学の進歩を図り、科学・技術および関連産業のさらなる発展を目指して

会長 平尾 和子
愛国学園短期大学 学長・教授

 

 糖質・糖質を含む食品は、私たちの食卓に欠かせない存在として、暮らしに深く根付いています。これらを持続的かつ安定的に供給することは、今後も極めて重要です。しかし近年は、気候変動による作物量の変動や人口減少など、社会を取り巻く不安要素が増加しています。こうした課題に対応するため、本学会の会員ならびに維持会員の企業の皆様は、資源を守りつつ時代のニーズや環境の変化に応じ、人々のより良い生活を支えるべく真剣に取り組んでこられました。そして今、これらの取り組みを一層強力に推し進めるべき時期を迎えています。
 このような状況のなか、2025年9月から2027年9月までの2年間、本学会の会長を務めさせていただくことになりました。微力ながら尽力いたしますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 一般社団法人日本応用糖質科学会は、1952年に澱粉工業会として創立されて以来、日本澱粉学会を経て現在の名称に改称し、法人化を経ながらも、「澱粉をはじめとする各種糖質科学および関連する酵素科学の進歩を図り、科学、技術および関連産業の発展に寄与すること」という理念を一貫して掲げてまいりました。本年で73周年を迎えましたが、産学官の強固な結束のもと、基礎から応用まで幅広い研究を推進し続けてこられましたのは、歴代の会長・役員、各支部長の先生方、そして何より会員の皆様のご尽力の賜物であり、心より感謝申し上げます。

 本学会では、学会員の研究や貢献に対しては「学会賞、奨励賞、技術開発賞」、基礎糖質科学分野の特別賞としては「二國賞」、産業発展のための研究や技術開発に対しては「貝沼賞」、若手研究者や学生には「ポスター賞」などを設け、研究者・技術者等の皆様の成果を顕彰してまいりました。これらの伝統を大切にしつつ、現状の学会活動をさらに活発化させ、未来を担う人材の育成に一層力を注いでまいります。特に高校生、大学生、大学院生の皆様が自由に研究成果を発表できる場を整えることが、本学会のさらなる活発化につながると考えております。

 現在、本学会は従来からの研究を大切に守りながら、糖質素材の機能性や応用研究、酵素関連研究、新素材の開発、難消化性糖質の健康効果、バイオマス利用、SDGsに関わる課題など、幅広い領域にも取り組んでいます。限りある食料資源を大切にし、有効に活用し大切にしつつ、地球環境と日本における食料問題にも寄与できる学会を目指していきたいと考えております。
 また、和文誌「応用糖質科学」は糖質科学の最新情報を社会に発信し続けており、英文誌Journal of Applied GlycoscienceはJournal Impact Factor(JIF)が付与され、2025年度は「1.4」を取得しています。今後も学会誌の水準を維持・向上のため、会員の皆様には積極的な論文投稿をお願い申し上げます。さらに、情報発信や学会運営の透明性を高めるため、ホームページや各委員会の規約・運営方法を見直し、時代に即した活動を進めてまいります。

 産学官の会員が互いに協力し合い、柔軟に連携できる環境を大切にしながら、皆様と共に歩みを進め、次代にふさわしい学会を築いてまいりたいと存じます。役員一同、会員の皆様と力を合わせ、学会のさらなる発展のために諸活動に取り組んでまいります。

 引き続き、変わらぬご支援とご協力を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

歴代学会長あいさつ

加藤陽治  前会長(2015年9月〜2017年9月)

林  清  前会長(2017年9月~2019年9月)

井ノ内直良 前会長(2019年9月〜2021年9月)

西尾俊幸  前会長(2021年9月〜2023年9月)

天野良彦  前会長(2023年9月〜2025年9月)