糖質面白話

糖質の構造の多様性 その1:ブドウ糖からなる二糖

 糖質の構造解析は難しいと言われています。実際、ブドウ糖(D-グルコース、分子式:C6H12O6)のみがα-結合した多糖である澱粉の構造は未だ完全には解明されてはいません。何故、難しいのでしょうか?難しさ、すなわち糖質の構造の多様性を具体的に数字で捉えてみましょう。

【問:D-グルコースからなる二糖は何種類あるでしょうか?】

【回答】

図 ハース投影式で表したD-グルコースの構造
 数字は炭素の番号を、黒色の水酸基(OH基)はアルコール性水酸基を、青色の水酸基はヘミアセタール性水酸基をそれぞれ示す。水溶液中ではほとんどのD-グルコースは1位炭素に結合した水酸基が下向き(α-グルコース)および上向き(β-グルコース)の2つの異性体の混合物として存在する。また、このヘミアセタール性水酸基は反応性に富み、グルコース同士の結合に関与する。

 D-グルコースが結合する場合、一方のD-グルコースのヘミアセタール性水酸基と他方のD-グルコースのアルコール性水酸基との間で脱水縮合した還元性二糖と、ヘミアセタール性水酸基同士が脱水縮合した非還元性二糖が考えられます。 さらに各結合はα-結合とβ-結合の2通り存在します。従って、組み合わせは
還元性二糖:α-1,2(コージビオース)、α-1,3(ニゲロース)、α-1,4(マルトース)、α-1,6(イソマルトース)、β-1,2(ソホロース)、β-1,3(ラミナリビオース)、β-1,4(セロビオース)、β-1,6(ゲンチオビオース)
非還元性二糖:α,α-1,1(トレハロース)、α,β-1,1(ネオトレハロース)、β, β-1,1(イソトレハロース)  
となり、合計11種類存在します。それぞれの二糖にはカッコ内に記載した個別の名称がつけられています。これらの中にはマルトースやトレハロースのように食品用途の高純度品が製品化されているものもあります。
 意外と多いという印象ではないでしょうか?その2では、D-グルコース3個が結合した三糖について考えてみます。三糖になると、存在し得る構造の数は急増し、より多様性が実感できるはずです。

長瀬産業株式会社 ナガセバイオイノベーショセンター
西本 友之

澱粉