従来、大量の澱粉を非晶化する実用的な方法としては、大量の水を用いて炊飯した後、乾燥、粉砕の工程を経る必要がありました。しかし、この方法では加熱・乾燥に多くのエネルギーを要するためコストが高く、さらに大規模な設備が必要になるという課題がありました。
こうした従来の常識を覆す世界に先駆けた技術として、山形大学大学院の西岡昭博教授は、水を一切使用せず、せん断力と加熱のみで澱粉やセルロースを瞬時に非晶化する独自技術「Amorfast®」を開発しました。
「Amorfast®」は、従来の非晶化工程に不可欠であった水を用いた加熱処理やその後の冷却・乾燥工程を必要としません。そのため、省エネルギーかつ低環境負荷での製造が可能となる革新的な技術です。非晶化とは結晶構造を破壊する技術であり、この処理によって素材の消化率が向上するほか、粘弾性や乳化性といった新たな機能を付加することができます。
食品分野では、米に機能性を付加することで小麦代替の可能性を広げ、米の消費拡大に寄与します。飼料分野では、穀物の消化率を向上させることで飼料効率を高め、原料価格高騰による畜産飼料コストの低減に貢献します。さらにバイオマス分野では、化学薬品を一切使用せず、水などの溶媒や分散媒も不要であるため、廃液や副産物を発生させない、低環境負荷、低コストな前処理を実現します。これにより、バイオマスのアップサイクルを加速させることが期待されます。
「Amorfast®」は、食料、エネルギー、環境といった多方面の社会課題に対し同時にアプローチできる非晶化技術であり、さらに、その応用可能性はこれらの分野にとどまらず、今後さまざまな領域へ広がっていくことが期待されます。

図1 Amorfast®の概略図

図2 Amorfast®米粉を用いた食品
参考文献
Katsuno, K., Nishioka, A., Koda, T., Miyata, K., Murasawa, G., Nakaura, Y., and Inouchi, N.,
「Novel method for producing amorphous rice flours by milling without adding water」 Starch/Stärke, 62, 475-479, (2010).
株式会社アルファテック 研究員
安孫子 眞鈴
